One's habitat Blog

ホームページ「One's habitat」の付属ブログ。何屋かと訊かれたらオカヤドカリの人です。無断転載ダメ。

シルバーアイキャットゲッコー

シルバーアイキャットゲッコー

シルバーアイキャットゲッコー

 キャットゲッコーには現在3タイプの流通があります。マレーキャットゲッコー(ブラックアイ)、ボルネオキャットゲッコー(グリーンアイ)、そしてシルバーアイキャットゲッコーです。マレーとボルネオはそこそこ流通があり、価格帯も手を出しやすいです。しかし、シルバーアイは非常に珍しく、そもそも存在すら知らないキャットゲッコー愛好家も多くいました。2020年末に15年ぶりくらいに入荷があり、それはもう驚きました。何を隠そうこれを見たいがために裏でめちゃくちゃ努力してましたので。コロナみたいな状況下だと、ブリーダーが出し渋っていた個体を放出することがままあるらしいですね。と言うことでCB個体が日本に着弾しました。正直なこと言うとクオリティは低いですが、まぁいいです。

キャットゲッコージョホール

 シルバーアイキャットゲッコーの特徴は、形態はマレーキャットゲッコーとほぼ同様ですが、虹彩に白斑が入ります。この白斑には個体差、地域差があり、今回の個体はかなり少ない方です。入りが多い個体はそれはもう迫力があり、海外ではギャラクシーアイなんて呼ばれ方もしています。いつかブリードできるように頑張りますよ。色々と詳細は以下のメインサイトに書いてます。

ones-habitat.wixsite.com

ボルネオキャットゲッコーF2

ボルネオキャットゲッコーF2(2019CBからのF2)

ボルネオキャットゲッコーブリード

ボルネオキャットゲッコー2019CBs

 ボルネオキャットゲッコーは2019CBが順調に育っており、同ケースでまとめて管理をしていました。そしたらどうでしょう。腹に卵のようなものが見え始めました。生後1年半といったところで、思っていたより性成熟が早かったです。あまり早く産ませるのも良くないとは言うものの、分けて管理するのも面倒ですしF2を採るのはキャットゲッコー飼育での目標であったためそのまま様子見することにしました。

抱卵ボルネオキャットゲッコー2019CB

 しばらくしたら腹がスッキリしていたので適当に低床を探ってみたところ、ちゃんと産み落とされていました。初産だし期待せずに放置していたんですが、忘れた頃にケースの中に小さな影が、、、どうやら成功したようです。

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ボルネオキャットゲッコーF2(2019CBからのF2)

 ボルネオキャットゲッコーのF2を採ることに成功。結構な快挙ではないかと自負しています。キャットゲッコーはしっかり飼育さえしていれば採卵は難しくないと思っています。しかし、無事に孵化させること、さらにはベビーを餌付けること、そしてしっかり成長させること、この3段階の壁があります。まず1年間生き延びさせることが地味に難しく、順調に成長しているように見えて肉付きが悪く、気付いたらゆっくり痩せていきそのまま…なんてことも。それを雌雄揃えてクリアすることは難易度が高いです。

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母親個体と卵の殻

 F1はWCと比べるとまだまだ長さも厚みも足りていないように感じますし、卵のサイズも小さいですがしっかりとF2が産まれるもんですね。

ones-habitat.hatenablog.com

カスミサンショウウオ

カスミサンショウウオ

Hynobius nebulosus

Hynobius nebulosus

 カスミサンショウウオは西日本に広く分布する種とされていましたが、2019年に隠蔽種を分類する論文が出て9種に分かれました。それでは引き続きカスミサンショウウオであるのはどの地域のものかというと九州北西部あたりになります。そしてタイプロカリティは長崎という事で、これを見に行かずになんとするというわけで重い腰を上げて探してきました。

真のカスミサンショウウオ

 カスミサンショウウオは1〜2月に繁殖のため止水環境に集まるので、一度に多数かつ繁殖の様子を見るには寒い中フィールドに出る必要があります。冬のフィールドってついでに灯下で虫拾うとか、道でヘビに出会すとかの楽しみがなく、目的一本それ逃したら完全スカになるのであまり行きたくないんですよね。まぁでもさすがに長崎にいる冬も今季含めてあと2回だけですので、かなり確度高いポイントへ探しに行ったところ見つけることできました。ぱっと見たところ10匹程度、卵塊は4個体分ってところでした。

カスミサンショウウオ長崎

 体色は黒〜黄〜乳灰と幅があり、面白かったです。朽ちかけのモミジもアクセントになって撮ってて楽しい環境です。

徳之島のハイ

徳之島のハイ

Sinomicrurus japonicus boettgeri

徳之島ハイ

 ハイは沖縄諸島と徳之島に分布する鮮やかなオレンジ色と黒色を持つ美しいコブラ科のヘビです。奄美のヒャンと亜種の関係にあります。なかなか珍しく出会う確率は低いため行っても見れないことが多いのですが、2泊の徳之島遠征で見ることができました。実は初遭遇です。徳之島のハイは外部形態は沖縄諸島のに近いのですが、遺伝的には奄美のヒャンに近い貴重な個体群です。本個体群の大きな特徴はオレンジラインが2本だけで、側面のラインはクリーム色をしていることです。沖縄諸島のハイは4本ともオレンジ色です。

Sinomicrurus japonicus boettgeri

 今回このハイを見つけたのは波音が聞こえる海岸林と砂浜の境目で、ムラサキオカヤドカリが集団でいる環境の中にいました。ハイの生息域は「山林から平野の水がある環境」みたいなザックリとしたものしか論文等でも記載されていないため、平野部が実際にはどこまでかを今回の発見で記録できるのではないかと思い、短報にしてみました。沖縄本島の南部ハイなどこれまで海岸林でハイは見つかっているのですが記録としては残っていなかったことや、自分のメイン対象であるオカヤドカリ類の重要生息環境である海岸林に貴重な爬虫類が生息している記録を1つでも多く残すことで海岸林保全に僅かでも役立つのではないかと思って書いてみました。幸いにもこういった非常に軽い内容を在野が気軽に投稿できるジャーナルがあるのです。オープンアクセスですし、とても短いのでぜひ覗いてみてください。

徳之島の海岸林におけるハイの記録 - ニッチェ・ライフ(8)

※2021年末に徳之島の個体群はヒャンに分類されると述べた論文が出ました。報告を出した手前、どうしたもんでしょうか笑。

チカヌマエビ

チカヌマエビ

Halocaridinides trigonophthalma

チカヌマエビ

 チカヌマエビは西太平洋の熱帯亜熱帯域のアンキアラインに生息する小型のエビ類で、日本では南西諸島で報告されています。アンキアラインとは、陸水のような環境であるが地下で海域と接続しており、汽水環境となっている水域を言います。井戸や洞窟内の水溜りなんかが該当することがあります。そんな洞窟の地下水環境では何種かエビ類が確認されており、チカヌマエビはその1種です。写真でもわかりやすいですが、洞窟の生き物らしく眼が退化して小さくなっていますね。生息環境が生息環境なんで生態的知見が乏しく、繁殖生態や成長段階など不明なことばかりです。今回抱卵個体が採れればゾエア飼育をやるつもりだったのですが、見事に非抱卵メスのみしか採れませんでした。

チカヌマエビ

 観光地とかでもなんでもない戦争時代の人骨なんかも隠れている藪の奥にぽっかりと空いた洞窟に足を踏み入れ、奥の水溜りを照らします。マダニとツツガムシにこの藪でやられました(多分)。本種は卵巣が鮮やかな紅色をしているため、いればわかりやすいです。

Halocaridinides

 こういう生態写真はなかなか貴重なんじゃないかなと。

チカヌマエビ

Halocaridinides trigonophthalma

 

クメジママミズフナムシ

クメジママミズフナムシ久米島水船

クメジマミズフナムシ久米島水船

Ligia sp.

クメジマミズフナムシ

 久米島固有の未記載フナムシ。仮称として上記が与えられていますが、真水か水か呼び方は好みで。仮称の通り本種は淡水生で、内陸の石灰岩域に生息します。最も有名な産地である某洞窟では多産しており、行けば見れます。一方でその洞窟でしか見られないとも言われていたりもしますが、普通に他の場所でも見つかります。確かに環境の条件を満たさないと見れないなという印象を受けましたが、こんなところで?というような適当な場所でも条件さえ揃っていれば確認できました。

クメジママミズフナムシ

 透明感のある身体に鮮やかな黄色斑紋が中心に走るため、フナムシの印象とはうって変わった美しい姿をしています。久米島に来たらぜひ見て欲しい生き物の一つですね。

クメトカゲモドキ

クメトカゲモドキ

Goniurosaurus kuroiwae yamashinae

Goniurosaurus kuroiwae yamashinae

 久米島固有のクロイワトカゲモドキ亜種:クメトカゲモドキ。クメは国産ゴニの中でも見やすい方で、行く先行く先に現れてくれました。夜間に岩がゴロゴロしている場所を探すのが手っ取り早いですが、適当に林道とか歩いていても見つかると思います。黄色味の強い体色が特徴で、色味の濃さには個体差があります。警戒心が強く、結構な勢いで走り出す個体が多かったです。

クメトカゲモドキ

 金色と黒色のコントラストが非常に美しい個体。国産ゴニは多くの海外ゴニと違って成長するほどに色味が良くなるのが本当に素晴らしいです。

クメトカゲモドキ

 オビを見たときに機会があればクメも見たいなんて言っていましたが、すぐに機会がきました。見たい国産ゴニは見れたんで、来年もコロナで海外に出れないとかなければしばらくは他のを探すことはないかなと。