One's habitat Blog

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チカヌマエビ

チカヌマエビ

Halocaridinides trigonophthalma

チカヌマエビ

 チカヌマエビは西太平洋の熱帯亜熱帯域のアンキアラインに生息する小型のエビ類で、日本では南西諸島で報告されています。アンキアラインとは、陸水のような環境であるが地下で海域と接続しており、汽水環境となっている水域を言います。井戸や洞窟内の水溜りなんかが該当することがあります。そんな洞窟の地下水環境では何種かエビ類が確認されており、チカヌマエビはその1種です。写真でもわかりやすいですが、洞窟の生き物らしく眼が退化して小さくなっていますね。生息環境が生息環境なんで生態的知見が乏しく、繁殖生態や成長段階など不明なことばかりです。今回抱卵個体が採れればゾエア飼育をやるつもりだったのですが、見事に非抱卵メスのみしか採れませんでした。

チカヌマエビ

 観光地とかでもなんでもない戦争時代の人骨なんかも隠れている藪の奥にぽっかりと空いた洞窟に足を踏み入れ、奥の水溜りを照らします。マダニとツツガムシにこの藪でやられました(多分)。本種は卵巣が鮮やかな紅色をしているため、いればわかりやすいです。

Halocaridinides

 こういう生態写真はなかなか貴重なんじゃないかなと。

チカヌマエビ

Halocaridinides trigonophthalma