One's habitat Blog

ホームページ「One's habitat」の付属ブログ。何屋かと訊かれたらオカヤドカリの人です。無断転載ダメ。

徳之島のハイ

徳之島のハイ

Sinomicrurus japonicus boettgeri

徳之島ハイ

 ハイは沖縄諸島と徳之島に分布する鮮やかなオレンジ色と黒色を持つ美しいコブラ科のヘビです。奄美のヒャンと亜種の関係にあります。なかなか珍しく出会う確率は低いため行っても見れないことが多いのですが、2泊の徳之島遠征で見ることができました。実は初遭遇です。徳之島のハイは外部形態は沖縄諸島のに近いのですが、遺伝的には奄美のヒャンに近い貴重な個体群です。本個体群の大きな特徴はオレンジラインが2本だけで、側面のラインはクリーム色をしていることです。沖縄諸島のハイは4本ともオレンジ色です。

Sinomicrurus japonicus boettgeri

 今回このハイを見つけたのは波音が聞こえる海岸林と砂浜の境目で、ムラサキオカヤドカリが集団でいる環境の中にいました。ハイの生息域は「山林から平野の水がある環境」みたいなザックリとしたものしか論文等でも記載されていないため、平野部が実際にはどこまでかを今回の発見で記録できるのではないかと思い、短報にしてみました。沖縄本島の南部ハイなどこれまで海岸林でハイは見つかっているのですが記録としては残っていなかったことや、自分のメイン対象であるオカヤドカリ類の重要生息環境である海岸林に貴重な爬虫類が生息している記録を1つでも多く残すことで海岸林保全に僅かでも役立つのではないかと思って書いてみました。幸いにもこういった非常に軽い内容を在野が気軽に投稿できるジャーナルがあるのです。オープンアクセスですし、とても短いのでぜひ覗いてみてください。

徳之島の海岸林におけるハイの記録 - ニッチェ・ライフ(8)

※2021年末に徳之島の個体群はヒャンに分類されると述べた論文が出ました。報告を出した手前、どうしたもんでしょうか笑。