One's habitat Blog

ホームページ「One's habitat」の付属ブログ。何屋かと訊かれたらオカヤドカリの人です。無断転載ダメ。

イワサキクサゼミ

イワサキクサゼミ

Mogannia minuta

イワサキクサゼミ

 春の南西諸島には日本最小のセミが姿を現す。イワサキクサゼミはその名の通り、樹木ではなく草本によく見られ、ジーと鳴きます。警戒心も強くなく、低い位置にいるので簡単に素手で捕まえられます。チッチゼミとは大違いですね。

ミヤコヒキガエル

ミヤコヒキガエル

Bufo gargarizans miyakonis

ミヤコヒキガエル

 南西諸島唯一の在来ヒキガエル宮古島とその周辺島嶼に分布していますが、大東諸島に移入しています。宮古島市では保全種に指定されているので、大東諸島で採集されたものが市場流通しています。保全されていると言うことは現地ではそんなに個体数は多くないのかと思っていたのですが、普通にウジャウジャしていました。宮古島で最も見つけやすい両爬だと思います。ニホンやアズマのような土茶色から写真のような鮮やかなオレンジ色まで体色は個体差が見られました。

ミヤコヒキガエル

 どうやらアズマやニホンより警戒心が強いようで、結構逃げていきます。ヒキなのに若干写真が撮りずらかったのはなんか納得いきませんね。でもスタスタ歩いて逃げていく姿は見ていて面白いです。

コムラサキオカヤドカリ分布北限更新

コムラサキオカヤドカリ分布北限の更新

Coenobita violascens

 コムラサキオカヤドカリはインド洋から太平洋の熱帯亜熱帯域に広く分布する陸棲甲殻類で、日本が分布の北限となっています。その中でも沖縄県教育委員会の調査で沖縄本島が北限であると報告されていましたが、今回2020年7月の徳之島遠征で当歳と思われる個体を複数見つけることができました。これにより種の北限の更新と、鹿児島県にて確認されているオカヤドカリ種の追加となりました。

コムラサキオカヤドカリの分布

 正直、奄美群島コムラサキオカヤドカリが1匹もいないわけはないと思っていましたが、なかなか渡航機会を得られずただそう思っているだけになっていました。しかし、話の流れで2泊にて徳之島へ行くことになり、そのうち1晩はソロということでこの機会は逃せないとちょっと本気を出すことにしました。そもそも本種は低温耐性が低い上に要求環境が他の種より狭いため、沖縄本島でも稀種です。そのため、ポイント選定をしっかりとして1日でケリをつけられるよう準備して行きました。いざポイントに着くとムラサキオカヤドカリやナキオカヤドカリの当歳個体がいるわいるわで、やはり優先種は言うまでもなくこの2種ですね。しかし根気良く小さなオカヤドカリ達を片っ端から眺めていったところ、求めていたものが見つかりました。そして、意気揚々とこの後海岸林に移動したところで次はヘビの短報ネタを拾うことになるとは思いもよらず、、、。

 報告は以下のリンクにて出版済みです。和文ですので興味があればぜひ。
徳之島初記録のコムラサキオカヤドカリ - Fauna Ryukyuana(59)

シルバーアイキャットゲッコー

シルバーアイキャットゲッコー

シルバーアイキャットゲッコー

 キャットゲッコーには現在3タイプの流通があります。マレーキャットゲッコー(ブラックアイ)、ボルネオキャットゲッコー(グリーンアイ)、そしてシルバーアイキャットゲッコーです。マレーとボルネオはそこそこ流通があり、価格帯も手を出しやすいです。しかし、シルバーアイは非常に珍しく、そもそも存在すら知らないキャットゲッコー愛好家も多くいました。2020年末に15年ぶりくらいに入荷があり、それはもう驚きました。何を隠そうこれを見たいがために裏でめちゃくちゃ努力してましたので。コロナみたいな状況下だと、ブリーダーが出し渋っていた個体を放出することがままあるらしいですね。と言うことでCB個体が日本に着弾しました。正直なこと言うとクオリティは低いですが、まぁいいです。

キャットゲッコージョホール

 シルバーアイキャットゲッコーの特徴は、形態はマレーキャットゲッコーとほぼ同様ですが、虹彩に白斑が入ります。この白斑には個体差、地域差があり、今回の個体はかなり少ない方です。入りが多い個体はそれはもう迫力があり、海外ではギャラクシーアイなんて呼ばれ方もしています。いつかブリードできるように頑張りますよ。色々と詳細は以下のメインサイトに書いてます。

ones-habitat.wixsite.com

ボルネオキャットゲッコーF2

ボルネオキャットゲッコーF2(2019CBからのF2)

ボルネオキャットゲッコーブリード

ボルネオキャットゲッコー2019CBs

 ボルネオキャットゲッコーは2019CBが順調に育っており、同ケースでまとめて管理をしていました。そしたらどうでしょう。腹に卵のようなものが見え始めました。生後1年半といったところで、思っていたより性成熟が早かったです。あまり早く産ませるのも良くないとは言うものの、分けて管理するのも面倒ですしF2を採るのはキャットゲッコー飼育での目標であったためそのまま様子見することにしました。

抱卵ボルネオキャットゲッコー2019CB

 しばらくしたら腹がスッキリしていたので適当に低床を探ってみたところ、ちゃんと産み落とされていました。初産だし期待せずに放置していたんですが、忘れた頃にケースの中に小さな影が、、、どうやら成功したようです。

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ボルネオキャットゲッコーF2(2019CBからのF2)

 ボルネオキャットゲッコーのF2を採ることに成功。結構な快挙ではないかと自負しています。キャットゲッコーはしっかり飼育さえしていれば採卵は難しくないと思っています。しかし、無事に孵化させること、さらにはベビーを餌付けること、そしてしっかり成長させること、この3段階の壁があります。まず1年間生き延びさせることが地味に難しく、順調に成長しているように見えて肉付きが悪く、気付いたらゆっくり痩せていきそのまま…なんてことも。それを雌雄揃えてクリアすることは難易度が高いです。

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母親個体と卵の殻

 F1はWCと比べるとまだまだ長さも厚みも足りていないように感じますし、卵のサイズも小さいですがしっかりとF2が産まれるもんですね。

ones-habitat.hatenablog.com

カスミサンショウウオ

カスミサンショウウオ

Hynobius nebulosus

Hynobius nebulosus

 カスミサンショウウオは西日本に広く分布する種とされていましたが、2019年に隠蔽種を分類する論文が出て9種に分かれました。それでは引き続きカスミサンショウウオであるのはどの地域のものかというと九州北西部あたりになります。そしてタイプロカリティは長崎という事で、これを見に行かずになんとするというわけで重い腰を上げて探してきました。

真のカスミサンショウウオ

 カスミサンショウウオは1〜2月に繁殖のため止水環境に集まるので、一度に多数かつ繁殖の様子を見るには寒い中フィールドに出る必要があります。冬のフィールドってついでに灯下で虫拾うとか、道でヘビに出会すとかの楽しみがなく、目的一本それ逃したら完全スカになるのであまり行きたくないんですよね。まぁでもさすがに長崎にいる冬も今季含めてあと2回だけですので、かなり確度高いポイントへ探しに行ったところ見つけることできました。ぱっと見たところ10匹程度、卵塊は4個体分ってところでした。

カスミサンショウウオ長崎

 体色は黒〜黄〜乳灰と幅があり、面白かったです。朽ちかけのモミジもアクセントになって撮ってて楽しい環境です。

徳之島のハイ

徳之島のハイ

Sinomicrurus japonicus boettgeri

徳之島ハイ

 ハイは沖縄諸島と徳之島に分布する鮮やかなオレンジ色と黒色を持つ美しいコブラ科のヘビです。奄美のヒャンと亜種の関係にあります。なかなか珍しく出会う確率は低いため行っても見れないことが多いのですが、2泊の徳之島遠征で見ることができました。実は初遭遇です。徳之島のハイは外部形態は沖縄諸島のに近いのですが、遺伝的には奄美のヒャンに近い貴重な個体群です。本個体群の大きな特徴はオレンジラインが2本だけで、側面のラインはクリーム色をしていることです。沖縄諸島のハイは4本ともオレンジ色です。

Sinomicrurus japonicus boettgeri

 今回このハイを見つけたのは波音が聞こえる海岸林と砂浜の境目で、ムラサキオカヤドカリが集団でいる環境の中にいました。ハイの生息域は「山林から平野の水がある環境」みたいなザックリとしたものしか論文等でも記載されていないため、平野部が実際にはどこまでかを今回の発見で記録できるのではないかと思い、短報にしてみました。沖縄本島の南部ハイなどこれまで海岸林でハイは見つかっているのですが記録としては残っていなかったことや、自分のメイン対象であるオカヤドカリ類の重要生息環境である海岸林に貴重な爬虫類が生息している記録を1つでも多く残すことで海岸林保全に僅かでも役立つのではないかと思って書いてみました。幸いにもこういった非常に軽い内容を在野が気軽に投稿できるジャーナルがあるのです。オープンアクセスですし、とても短いのでぜひ覗いてみてください。

徳之島の海岸林におけるハイの記録 - ニッチェ・ライフ(8)

※2021年末に徳之島の個体群はヒャンに分類されると述べた論文が出ました。報告を出した手前、どうしたもんでしょうか笑。