One's habitat Blog

ホームページ「One's habitat」の付属ブログ。何屋かと訊かれたらオカヤドカリの人です。無断転載ダメ。

チカヌマエビ

チカヌマエビ

Halocaridinides trigonophthalma

チカヌマエビ

 チカヌマエビは西太平洋の熱帯亜熱帯域のアンキアラインに生息する小型のエビ類で、日本では南西諸島で報告されています。アンキアラインとは、陸水のような環境であるが地下で海域と接続しており、汽水環境となっている水域を言います。井戸や洞窟内の水溜りなんかが該当することがあります。そんな洞窟の地下水環境では何種かエビ類が確認されており、チカヌマエビはその1種です。写真でもわかりやすいですが、洞窟の生き物らしく眼が退化して小さくなっていますね。生息環境が生息環境なんで生態的知見が乏しく、繁殖生態や成長段階など不明なことばかりです。今回抱卵個体が採れればゾエア飼育をやるつもりだったのですが、見事に非抱卵メスのみしか採れませんでした。

チカヌマエビ

 観光地とかでもなんでもない戦争時代の人骨なんかも隠れている藪の奥にぽっかりと空いた洞窟に足を踏み入れ、奥の水溜りを照らします。マダニとツツガムシにこの藪でやられました(多分)。本種は卵巣が鮮やかな紅色をしているため、いればわかりやすいです。

Halocaridinides

 こういう生態写真はなかなか貴重なんじゃないかなと。

チカヌマエビ

Halocaridinides trigonophthalma

 

クメジママミズフナムシ

クメジママミズフナムシ久米島水船

クメジマミズフナムシ久米島水船

Ligia sp.

クメジマミズフナムシ

 久米島固有の未記載フナムシ。仮称として上記が与えられていますが、真水か水か呼び方は好みで。仮称の通り本種は淡水生で、内陸の石灰岩域に生息します。最も有名な産地である某洞窟では多産しており、行けば見れます。一方でその洞窟でしか見られないとも言われていたりもしますが、普通に他の場所でも見つかります。確かに環境の条件を満たさないと見れないなという印象を受けましたが、こんなところで?というような適当な場所でも条件さえ揃っていれば確認できました。

クメジママミズフナムシ

 透明感のある身体に鮮やかな黄色斑紋が中心に走るため、フナムシの印象とはうって変わった美しい姿をしています。久米島に来たらぜひ見て欲しい生き物の一つですね。

クメトカゲモドキ

クメトカゲモドキ

Goniurosaurus kuroiwae yamashinae

Goniurosaurus kuroiwae yamashinae

 久米島固有のクロイワトカゲモドキ亜種:クメトカゲモドキ。クメは国産ゴニの中でも見やすい方で、行く先行く先に現れてくれました。夜間に岩がゴロゴロしている場所を探すのが手っ取り早いですが、適当に林道とか歩いていても見つかると思います。黄色味の強い体色が特徴で、色味の濃さには個体差があります。警戒心が強く、結構な勢いで走り出す個体が多かったです。

クメトカゲモドキ

 金色と黒色のコントラストが非常に美しい個体。国産ゴニは多くの海外ゴニと違って成長するほどに色味が良くなるのが本当に素晴らしいです。

クメトカゲモドキ

 オビを見たときに機会があればクメも見たいなんて言っていましたが、すぐに機会がきました。見たい国産ゴニは見れたんで、来年もコロナで海外に出れないとかなければしばらくは他のを探すことはないかなと。

イワサキセダカヘビ

イワサキセダカヘビ

Pareas iwasakii

Pareas iwasakii

 八重山3珍蛇の一角であるイワサキセダカヘビをようやく見ることができました。3珍の中では割と見やすい種なのですが、なかなか巡り会うことができませんでした。セダカヘビ科はアジアに広く分布し3属に分類されていますが、日本のセダカヘビは本種のみです。変態蛇の中でもかなり特殊なカタツムリ専食という生態で、殻から身を引き出すために独特な顎を持ちます。

イワサキセダカヘビ

 樹上棲で、発見時も2m程の高さにいました。サキシマハブを警戒して地面を見つつ、樹上を探さないといけないので歩くのに時間がかかる探し方をしないといけません。足元を見る人と樹上を見る人で役割分担するのも手ではありますが。

イワサキセダカヘビ

 非常に撮影しやすいヘビでした。なんと言っても動きがスローですし、良い体勢で止まってくれます。サキシマアオヘビとかは見習って欲しいですね。

ヤエヤママルバネクワガタ

ヤエヤママルバネクワガタ

Neolucanus insulicola insulicola

ヤエヤママルバネクワガタ大歯

ヤエヤママルバネクワガタ大歯

 八重山3珍蛇とヤシガニを探しに行っていたのですが、時期が時期だったのでクワガタ屋の帰結先の一つであるマルバネ探しに現地の知り合いに誘っていただき見てきました。自身の開拓では見つけることのできる気がしない対象だったので、非常に良い機会を与えていただけました。山の中をズンズン進んでいき発生木を見て廻るのですが、聞いていたとおり結構大変でした。

ヤエヤママルバネクワガタ中歯

ヤエヤママルバネクワガタ中歯

 今回は2020年10月5日の一晩のみの探索ということで発生にはまだ時期尚早と思っていたのですが、充分に楽しむことができました。全然自分では見つけることができなかったのですが、いた!という声の方に顔を出して覗き込んでみると、非常に美しいワインレッドの身体が目に入りました。あぁなるほど、これは宝探しだと思いましたね。発生初期ということもあり傷も少なく写真映えする個体ばかりでした。周辺ではヤエヤマネブトクワガタやヤエヤマネッタイコシビロダンゴムシも多数見られ、副産物も充実。マルバネ系は上記の通り入れ込んでいる虫屋が多いので、ブログ記事も充実したものがネットに散らばっているため、詳しい採集記みたいなのは探してもらえれば出ると思います。

マレーキャットゲッコー ブリード

Breeding of Malay Cat Gecko Aeluroscalabotes felinus.

マレーキャットゲッコー

マレーキャットゲッコー♀親1

 実は今年マレーキャットゲッコーをトリオで導入し、ブリードに挑戦していました。ボルネオができたんでマレーもできるだろうと思い、全く同じセットで飼育していたら特に変わるところなく成功。ボルネオのブリードがまぐれではないことがわかって結構嬉しかったです。

キャットゲッコーブリード

マレーキャットゲッコー2020CB

 今回は親が卵を2個ともしっかり生むことができず、1匹のみの孵化。とはいえまだ後ろに4個の卵が控えているのでワラワラするのが楽しみです。最初の壁である餌付けも上手くいったようで、取り敢えずは安心かなと。にしてもボルネオとはベビー特有の部分もやはり色々と違っていて面白いです。

キャットゲッコー飼育

マレーキャットゲッコーCB

 マレーキャットゲッコーはマレーシアンキャットゲッコーなり少し呼ばれ方にブレがありますが、マレーが最も的を得ていると思います。マレーシアンと言ってしまうと、ボルネオキャットもマレーシア側にいるのはマレーシアンになるじゃないですか。マレー半島(Malay Peninsula)のキャットゲッコーという意味合いを持たせると、マレーキャットゲッコーがしっくりきますね。まぁ、厳密にいうとこれも完全に的を得ているわけではないのですが、そこも考慮し始めると完全に別の呼び方をしなくてはならなくなります。現時点ではこれで充分かなと思います。

 

キャットゲッコーについてまとめたものはこちらにてどうぞ。

キャットゲッコー

 

※2022年3月6日追記

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ツシママムシ

ツシママムシ

Gloydius tsushimaensis

ツシママムシ

 ツシママムシ対馬固有種で、模様がハッキリとした眼状紋にならない点や、舌が桜色を呈するところからニホンマムシと種判別されます。とはいえ最も有名な差異は、非常に攻撃的であるということです。ニホンマムシは基本掴んだり踏んだりしない限りは咬んでくることはあまりないのですが、ツシママムシはそれはもう跳び掛かってきます。体勢を弄るために枝で刺激すれば枝に咬み掛かってくるし、ストロボを近付ければ動きに合わせて跳んできます。こっちが動くとそれにも反応してくるので危険です。

Gloydius tsushimaensis

 刺激を受けると身体を平くして威嚇します。気付かずに近くに足を踏み下ろしただけで咬まれる例もあり、個体数が尋常じゃなく多いらしいことも含めて対馬の人からはかなり警戒されている蛇になります。撮影していて楽しかったですが、ハブを撮っているような気分になりました。焦点距離のあるレンズじゃなきゃ怖くて撮れませんね。