One's habitat Blog

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福江島のミナミヌマエビ

福家悠介・岩﨑朝生・笹塚諒・山本佑治,2021.五島列島福江島におけるミナミヌマエビの初記録.Cancer,30:63-71.

www.jstage.jst.go.jp

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福江島ミナミヌマエビ

 ミナミヌマエビ Neocaridina denticulataは西日本に分布する陸封型のヌマエビ類で、同属の外来種(外部形態での種判別は困難)が日本に定着したことで分類学的混乱を極めています。本論文は、長崎県五島列島福江島にてカワリヌマエビ属の一種を発見し、ミトコンドリアDNA分析によってミナミヌマエビと同定したものを初記録として報告した共著論文です。九州本土サンプルやイキシマカワリヌマエビ(この時のサンプル)も含めて分析を行い、イキシマカワリヌマエビは九州ミナミヌマエビの一地域集団と考えられること、九州におけるシナヌマエビの移入等について言及しています。カワリヌマエビ問題について深く述べられている第一著者の力作ですので、ぜひ読んでみてください。私は本集団発見のきっかけと、イキシマカワリヌマエビの標本を提供をしたことで共著者となっています。

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福江島内の本論文とは関係ない溜池

 福江島は水資源の豊富な島で、島内には無数の溜池と河川が存在しています。そんな島にミナミヌマエビがいないはずはないと仮説を立てていたのですが、最初の発見をしたのは一緒に遠征をしていた第二著者でした。私は仕事のため早期離脱をしており、採れたよという連絡が来たときは何で自分がいないときに…という気持ちと、やっぱり自分の仮説は正しかった(この時点では在来かどうか不明)という気持ちで、何と言うか取り敢えずまた行かなきゃなぁとぼんやり予定を描いていました。

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福江島のビーチ

 福江島の海は沖縄のように綺麗ですし、昆虫類はフクエアオカナブンやゴトウヒラタクワガタ等と面白いものがおり、結構気に入っています。