One's habitat Blog

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オガサワラヌマエビ

オガサワラヌマエビ

Paratya boninensis

オガサワラヌマエビ

オガサワラヌマエビは小笠原諸島固有の淡水性コエビ類で、陸封型の生活史を持ちます。陸封型ですが直達発生ではなくゾエア幼生で生まれるため、カワリヌマエビ属とはまた違います。そんなわけで本種の分類はヌマエビ属です。このヌマエビ属は日本に3種分布しており、ヌマエビ P. compressaは両側回遊性、ヌカエビ P. improvisaは陸封型です。オガサワラヌマエビも両側回遊性のヌマエビ属種が幼生期に海流に乗って小笠原諸島へたどり着き、河川で陸封型に移行したものと考えられます。海洋島において陸封型の生活史を取る甲殻類はかなり珍しいです。小笠原諸島固有の淡水性エビ類は他にオガサワラコテナガエビがいますが、両側回遊性です。

オガサワラヌマエビ額角

気になる本種の額角はこんな感じです。一部隠れていると言われても、棘はわかりますよね。論文の写真とかでもないのでこの程度で勘弁してください。にしても赤めの綺麗な模様を呈してますね。現在では種の保存法に指定され、保護されています。