One's habitat Blog

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Geosesarma cf. bau

Geosesarma cf. bau

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かなり感動した光景でした。ドワーフクラブはかなり好きなカニで、野外で見てみたいと前々から思っていました。ゲオセサルマの一部種は草本上で活動しているものがいることは知っていたので、この姿を見たときはピースが嵌るような感覚を覚えました。ゲオセサルマは陸封の純淡水性ですがベンケイガニ科で、サワガニとは科から分類が異なります。現地でも沢の水中にはサワガニ類が見られ、棲み分けていると考えられます。日本ではアダンベンケイガニScandarma lintouといった樹上性のベンケイガニが南西諸島では見られますが、浮遊幼生期を持ち繁殖に塩水環境を必要とします。ゲオセサルマは直達発生型であり、浮遊幼生期を持ちません。内陸の淡水域に適応した小型のベンケイガニといったところでしょう。熱帯地域の甲殻類ドワーフクラブが一強で興味深いと個人的に思っております。ボルネオでは他にもLepidothelphusaがかなり面白いのですが、これは残念ながら確認できなかったです。とまぁどこが興味深いかは言うまでもなく、体色です。ドワーフクラブには奇抜な体色を持つものが多く、アクアリウムでも人気の種です。バンパイアクラブGeosesarma dennerleやレッドデビルクラブGeosesarma hagenは2大有名種ですね。紫好きな私もバンパイアは最高だと思います。陸域の生物にはなかなか見られない色彩を持ち、樹上活動やネペンテスに住み込むなど生態も面白いものが多く、ますます興味を惹かれます。

今回ボルネオ島サラワク州で見つけたこの個体は、、、奇抜な色彩の種ではなかったですね。そこはちょっと残念でした。CWが10 mm程度のメスで、この1個体しか見つかりませんでした。もっと周囲をくまなく探せば追加はできたと思います。しかし、キャットゲッコー探しも重要だったので。 Geosesarma bauかこれに近い未記載種かなと思いますが、オスも見つけて論文読まないといけないやつですね。大変だ。ゲオセサルマは未記載種も多く、これからどんどん分類が進んでいくだろうアツい属です。またそのうちドワーフクラブ飼おうかな。