One's habitat Blog

何屋かと訊かれたらオカヤドカリの人です。無断転載ダメ。

オオトゲオカヤドカリにおける宿貝利用と宿貝放棄行動

オオトゲオカヤドカリにおける宿貝利用と宿貝放棄行動

Sasazuka, M., Hamasaki, K. and Dan, S. 2019. Shell utilization and shell-shedding behaviour by the land hermit crab Coenobita spinosus, Ethology Ecology & Evolution.

Shell utilization and shell-shedding behaviour by the land hermit crab Coenobita spinosus リンク

 

オオトゲオカヤドカリの宿貝放棄行動

オオトゲオカヤドカリの宿貝放棄行動

 今回、人生の目標の一つであったオカヤドカリ類に関する原著論文が出ました。

 概要としてはオオトゲオカヤドカリ Coenobita spinosus H. Milne Edwards, 1837 が行うとされている、刺激を受けた際に宿貝を捨てて逃げる行動と、所持している宿貝の種類・選択サイズの傾向についてオオナキオカヤドカリ Coenobita brevimanus を比較対象種として定量的に評価したというものです。

オオナキオカヤドカリとオオトゲオカヤドカリ

オオナキオカヤドカリ(左)とオオトゲオカヤドカリ(右)

 オオトゲオカヤドカリ Coenobita spinosusは甲殻綱、十脚目オカヤドカリ科、オカヤドカリ属の陸上に生息する甲殻類です。本種は西太平洋にある熱帯亜熱帯の島嶼域に広く分布しており、日本では小笠原諸島に極々少数生息しています。非常に知見の少ない種ではありますが、身体に対して小さめの宿貝を好み、外部刺激に対して宿貝を放棄し逃亡すると言われています。ヤドカリ類にとって宿貝は中に籠ることで防御力を高めて捕食者に対抗する道具であり、陸棲種であるオカヤドカリ類は宿貝内で水分を保ち呼吸を行うなど非常に重要な役割も有しています。そんなヤドカリの生命線でありアイデンティティーでもある重要なアイテムを捨てるという行動をとるのは非常に興味深いです。つまり、宿貝を持ち上げる刺激を与える・体サイズと宿貝サイズの比率、を上記2種に対してデータを取って比較解析すると有意差が現れるのではという仮説を元に調査を行いました。

 どうしてもオカヤドカリ類に関して短報だけではなくちゃんとした原著英論を持ちたく思い、自身の持っている論文になりうるネタとして思いついたのがコレでした。こうこうこういう内容でデータを取ってきたら書けませんか、と在学中に教授と相談し、OKが出たので一人でグアムへ自費で赴いてデータを得てきました。2018年秋頃の本ブログでも連なっているグアム記事は、この調査の副産物的遠征成果ですね。

オオトゲオカヤドカリ

オオトゲオカヤドカリに挟まれる筆者

 そして無事(?)データを得ることができ、本論文を出すに至りました。正直、夜のアメリカで一人、限られた滞在期間内に最優占種でないオカヤドカリ2種を50個体ずつ計100個体探して計測をするのはかなりツラかった分、論文にできて感激です。本当に感謝でいっぱいです。

ones-habitat.hatenablog.com

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https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/03949370.2019.1630013