One's habitat Blog

ホームページ「One's habitat」の付属ブログ。何屋かと訊かれたらオカヤドカリの人です。無断転載ダメ。

コムラサキオカヤドカリ

コムラサキオカヤドカリ

Coenobita violascens

コムラサキオカヤドカリ

 かなり大型になる種で、成長によって体色が大きく変わります。幼体は赤オレンジといった目立つ色彩を呈していますが、成長に従い青みが加わっていきます。色が混ざるのか、グレーっぽい地味な体色になりますがどんどん青みが濃くなっていき、最終的には美しい青紫色へと変化します。コムラサキは"小紫"ではなく、"濃紫"です。低温耐性が低いことと、マングローブ林のような汽水環境に依存するため日本では八重山以外で見ることは難しいです。世界的にはかなり広い分布域を持っているため、幼生の分散能力には申し分ないはずです。となると日本においては南西諸島とはいえ中琉球以北は冬の低温がネックになっていると考えられます。沖縄本島でギリギリです。南琉球ではポイントにて多産しています。色が色なんでムラサキオカヤドカリと誤同定されやすいですが、ある程度目の肥えている人間は一瞬で判別付くほど2種間には大きな形態差があります。あとこういうフワッとしたことは言ってはダメなんですが、コムラサキのこの色味はムラサキには出せません。どちらもその種の独特な良い紫色を持っているということです。