One's habitat Blog

ホームページ「One's habitat」の付属ブログ。何屋かと訊かれたらオカヤドカリの人です。無断転載ダメ。

Coenobita carnescens

Coenobita carnescensCoenobita carnescens

和名を勝手につけるならフシグロオカヤドカリとかでしょう。そんな冗談はさておき、本種はサキシマオカヤドカリ Coenobita perlatusの異タイプ異名(heterotypic synonym)として識者らには認知されています。しかし、分類学的な評価はされておらず、未だにCoenobita carnescensとして独立しています。記載年が1851年と古く、記載時の情報状況を手に入れにくいのが障害となっているのでしょう。本当に情報が少ないです。現状わかっていることが、分布域はポリネシアの辺り(主にフレンチポリネシア)、発見されているものは小型個体ばかりであること、歩脚と鉗脚の節上部に黒(褐)色の模様を持つこと です。フレンチポリネシアからはCoenobita carnescensの特徴を持つヤドカリ達として、写真はネット上にけっこう貼られています。それらをもとに上写真の個体はCoenobita carnescensということになりましょう。まぁ、私は普通にサキシマオカヤドカリとして種判別しました。他のサキシマオカヤドカリと同所で発見され、形態的特徴は節の色が違うだけです。サキシマ若齢のカラーバリエーションの一つなんだなと思っていました。形態的にかなり近いナキオカヤドカリやムラサキオカヤドカリといった左鉗脚に斜向顆粒列を持つオカヤドカリ類は若齢時の体色において個体差が激しいです。そして成体では体色差がかなり小さくなります。サキシマもそうである可能性を考えると、やはり節が黒いというのも個体差に落ち着くんじゃないかと思います。大型個体が見つからないのは、成長で黒い個体も赤みを帯びていき、体色的にも一般的なサキシマオカヤドカリへと変化していくためであると考えます。それにサキシマの成体には、かなり黒っぽい赤の個体も見られます。この説を支える証拠として次の写真の個体を見てください。

I insist that Coenobita carnescens is a heterotypic synonym of Coenobita perlatus. I speculate that C. carnescens is a color variation of C. perlatus juvenile. I think that Coenobita carnescens which like the first photo will grow red like the next photo, so it will become Coenobita perlatus that is well known as strawberry.

Coenobita carnescens

サキシマオカヤドカリCoenobita carnescensの中間といった個体です。Coenobita carnescensがだんだんと赤みを帯びて、よく見るサキシマオカヤドカリへ変化していく成長途中の個体って感じがします。というかオス第5脚底節についての情報がないのは痛いですね。まぁ、うだうだ言わずに遺伝子解析すれば一発なんでしょう。フレンチポリネシアの研究者方にぜひ分類再検討論文を出してシノニムとしていただきたいですね。そんなこと言って解析で本当に別種だった、なんて結果に落ち着いたら恥ずかしいですが笑。

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