One's habitat Blog

ホームページ「One's habitat」の付属ブログ。何屋かと訊かれたらオカヤドカリの人です。無断転載ダメ。

カニクイガエル

カニクイガエル

Fejervarya cancrivora

カニクイガエル
 両生類は淡水性であり、海水に浸かると浸透圧の関係で体内の水分がどんどん出て行ってしまい脱水症状によって死亡します。しかし、このカニクイガエルはマングローブ湿地つまり汽水環境に生息する世界で唯一の両生類です。成体も幼生も汽水環境で生存することができます。汽水とは一口に言っても濃度の範囲は広いですよね。全般的にではありませんが、汽水域の生物を飼育するにあたっての目安は約20‰です。ではカニクイガエルはそんな塩分環境で、どのようにして脱水を防いでいるのでしょうか。本種は窒素代謝産物のアンモニアから尿素を生成し、これを体内に蓄えることで浸透圧調整が可能となっております。サメと同じですね。外溶液に対して内溶液の濃度を調節することで、水が体外へ移動するのを防ぐわけです。

 ちなみに前の記事でオオヒキガエルも塩分耐性があると書きましたが、あくまでカエルの中では塩分耐性があると言う話で海水中での活動はできません。河口や海岸で活動というのは河口や海岸の塩水中で、ではなく塩っ気を含んだ土壌や潮風の当たる環境でも強靭な皮膚によって活動できるというものです。カエルの中ではこれでもかなり塩分耐性があるほうです。 

ones-habitat.hatenablog.com

 今回のグアム遠征でこのカニクイガエルをようやく見ることができました。言うまでもなく、グアムのは外来種です。本来は東南アジアに分布しています。カニクイガエル(Crab-eating Frog)の名の通り、昆虫だけでなくカニも捕食しているようです。見た感じただのヌマガエルですが、見れた環境が見れた環境ですのでカニクイガエルでしょう。

両生類の大弱点であった塩水耐性を獲得した世界で唯一のカエルという肩書きを持つ種。かっこいいですね。