One's habitat Blog

ホームページ「One's habitat」の付属ブログ。何屋かと訊かれたらオカヤドカリの人です。無断転載ダメ。

アシナガオカヤドカリ Coenobita longitarsis

アシナガオカヤドカリ

Coenobita longitarsis

 本種は記載論文が不明瞭な内容だったため、有効種として放置されつつも個体差によるいずれかの種か海産種の誤認等によるものだと考えられていました。

 しかし、2023年に再整理した論文が出たことでしっかりと独立したオカヤドカリ属種であることが認識され、オカヤドカリ界隈を沸かせたことは記憶に新しいです。なお、論文における標本の情報は、モルッカ諸島から採集されたメス2個体をシンタイプとし、それから100年越しにパプアニューギニアやニューブリテン島、シブヤン島から追加が得られたというもの。どの島も極めて行きにくいことに加えて、稀種であること、そしてオカヤドカリ C. cavipesとの見分けが高難易度であることから、そうそう現物を拝むことはできないオカヤドカリ属最難関種であることがわかります。

 ただ、カケラばかりの希望が論文に書かれていました。「ある本に載っているグアムの個体が本種の特徴を有している。」標本の得られた島の位置や海流を踏まえると、グアムにいてもおかしくはありません。であれば、渡航難易度だけは下がります。しかし、問題の本質はそこではなく。。。グアムは筆者が何度も渡航してオカヤドカリ科を観察しているにも関わらず、これまでにオカヤドカリ C. cavipes(当時は隠蔽があるとは梅雨知らず)と認識した個体は1個体しか見たことがないほどの稀少さであり、見分けるとかいう以前にサンプルが出ないのです。

 行っても出ない可能性が極めて高いなかで、意を決して2023年11月に赴き、、、不発。再度リベンジということで2024年7月に赴き、、、敗北。2度も頑張って全く手応えすらない状態だったため諦めざるを得ないと判断しました。

 ところが、旅行という形で2025年9月に再度グアムへ赴くことになりました。折角だし、夜にちょろっとホテル裏の海岸林くらいは探そうとかなと言いつつ本格的な装備を用意しているのは性なのでしょうね。するとどうでしょう。その日は条件が良かったのか信じられない数のヤシガニが活動しているではないですか。至る所でヤシガニがガサガサしている中で、ふとポトスの葉の上にてカタツムリの貝が見えました。まさか、と近づくと脚が見える。グッと寄るとそれはよく南西諸島で見たオカヤドカリ C. cavipesとそっくりな幼体でした。

Coenobita longitarsis

 写真を何枚か撮り、捕獲してオスであることを祈りながら少し身を引き出す。オスだ。しかも、生殖突起が極めて短い。

Coenobita longitarsis

 幼体であるため、他の特徴での判断が難しいものの、極めてアシナガオカヤドカリ Coenobita longitarsisと言って良い個体でしょう。バチッとわかりやすい成体(大型個体)も見たいため、滞在期間中は毎日探してみたものの、やはり追加は得られませんでした。まぁ幼体とはいえ、極めて嬉しい成果です。3度も渡航してようやくという希少性。なかなかハードでした。

 

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