エベナビアゲッコー
Ebenavia gecko
※2019年12月29日投稿、2022年10月29日加筆。
エベナビア属は6種に分類されていますが、入荷した際はエベナビアゲッコーと括られているのみで同定されていません。日本への入荷が1種だけならそれでもまぁ良いのかもと思わなくもないですが、普通に2種以上入荷ってます。では見分け方はというと、、、論文読めばわかりますので紹介してこの記事は終わりにします。
冗談はさておき
最初から英語で検索かけて本論文に行き着いて読んでいる方々はこの記事に来てないわけで、このブログの有用性を示すためにも日本語で抜粋を記述します。本論文は優しいことにオープンアクセスですし、ちゃんと種判別のフローチャートを作れるような要点まとめがされています。ありがたいですね。
まず、6種の推定分布域はというと下図のようになってます。(ペンバとマウリティウスは離れているので除く)
これを見ると、マダガスカル便にある程度詳しい人は気付くと思います。おそらく日本で流通するのはこの辺りだろうと。現在の便の流通種を見ると、Ebenavia tuelinae以外は流通の可能性があると思います。私は以下のように推測します。
主に流通する種:Ebenavia boettgeri , Ebenavia robusta
稀に流通する可能性のある種:Ebenavia safari
極稀に流通する可能性のある種:Ebenavia inunguis
流通をあまり望めない種:Ebenavia maintimainty
流通は考えられない種:Ebenavia tuelinae
では、本題の種判別に移ります。論文からわかりにくい部分を除いて判別方法をまとめると、、、
全体的に黒く、口吻が短い → Ebenavia maintimainty
茶色の方が強く、口吻が長め↓
身体が大きく、後肢の鱗に大きなものがまばらに混ざる → Ebenavia robusta
後肢の鱗は均一↓
鼻孔と吻側鱗が接触していない → Ebenavia boettgeri
鼻孔と吻側鱗が接触する↓
背に特徴的な模様を呈す → Ebenavia tuelinae
背に特徴的な模様がない → Ebenavia inunguis , Ebenavia safari
大まかに以上ですが、絶対的な信用はしないでください。あくまで私がわかりやすいように省き付け足してできたものですので参考としてで、しっかり見たいなら論文読んでください。こことここの長さの比がとか、ここの鱗の数がとか、骨の形がとか、簡単には見れない細かいポイントがしっかり記されています。上のはショップで使える種判別の一助ってやつですね。
そしてこんな記事を書いた理由は、2019年冬のマダガスカル便で入荷したエベナビアゲッコーを買ったためです。そして、2022年秋のマダガスカル便で入荷した個体も買いました。これらは言うまでもなく同定されてなかったのですが、間違いなく別種でしたので同定しました。
2019年入荷の個体はEbenavia boettgeriですね。後肢の鱗のサイズが均一ですし、鼻孔と吻側鱗が接触していません。イーストコーストクレードとされていたものですので、イースタンエベナビアゲッコーとかで。ヒガシクチボソツメナシヤモリ。
2022年秋入荷分はEbenavia robustaですね。棘状の鱗が尾の全面を覆い、後肢の鱗のサイズは均一でなく大型鱗が混ざっています。そして言うまでもなくあからさまに大きいです。本種はハイランドクレードとされていたとおり、標高1000m付近に分布しているため高山系と言えると思います。あまり高温には晒したくない情報ですね。本種の特徴は大きさでもありますが、尾の棘状鱗含めて全体的にトゲトゲとした印象を受けることからスパイニーエベナビアゲッコー、トゲクチボソツメナシヤモリとかが良いなぁと。