One's habitat Blog

ホームページ「One's habitat」の付属ブログ。何屋かと訊かれたらオカヤドカリの人です。無断転載ダメ。

マレーテナガコガネの欠片

マレー半島遠征の目的は高望みを除いて大きく2つでした。一つ目はマレーテナガコガネを見つけること。二つ目はキャットゲッコーを2タイプとも見つけること。そこで遠征日程は半分に分け、前半はキャメロンハイランドへ、そして後半は一気に移動してとある村へ。これはソロでの遠征です。初のマレー半島で初の一人海外遠征です。

クアラルンプールに朝着き、クアラルンプール国際空港からバスでTBSバスターミナル、乗り継いでキャメロンハイランドへ向かいます。移動時間は、、、飛行機7時間強、バス7時間弱くらいだったかな。結構かかりますね。キャメロンへ着いたのは15時頃。チェックイン後すぐにフィールドへ向かいます。暗くなる前に下見をしなくてはなりません。目星をつけていたポイントへ直行します。野犬に注意の看板を横目に、ジャングルを進んでいきます。雰囲気は悪くない感じですが、やはり昼は生き物が全く出ない。植物はまぁまぁ面白く、Piptospathaが群生していたり、青Selaginellaが辺り一面を覆っていました。少し進むとあからさまな青が目に入りました。Begonia pavoninaです。どぎついまでの青さを持つキャメロンで有名なベゴニアです。辺り一面を覆うほどの群生は圧巻でした。暗くなる前に夕飯を食べるため、ジャングルを一旦後にします。暗くなってから再度訪れると、なんと入り口の簡易柵が閉められてました。鍵がかかっているわけでもなく、ただ閉められているだけでしたが何となく入る気は憚られました。かなりの距離を歩き回って別のポイントを探しましたが、どこもエントリーできず、、、。とりあえず今日は灯火を探し、明日は強行手段を取ろうと決意しました。灯火ではセミやディディエールシカクワガタのメスが採れた感じです。オス来なさいよ。

翌日の昼もかなり歩き回ってみましたが、特に成果は出ず。コーカサスオオカブトのメス死骸を見つけるくらいでした。そして早めに夕食を済ませ、前日夜に入れなかった下見ポイントへ向かいます。強行手段というのは明るいうちからそこで待機し、閉める人が来たらナイトウォークすることを話そうというものです。まぁ、どうやらこの柵はただの扉で、通った人が開けっ放しにしているか閉めているかだけという、立ち入りを制限するものではなかったようです。特に人は現れませんでした。夕暮れの中少し奥へ進み、一人ジャングルの中で日が暮れるのを待ちます。自分が思っていたよりも心細かったです。たった一人異国の熱帯雨林で、辺り一面が真っ暗になっていくのを待つ。想像してみてください。結構キツいですよ。余計なことは考えず、冒険が始まるワクワク感で心を染めて待ちました。1時間ほど待ち、完全に暗くなったところで動き始めました。しかし、思っていたより生物が薄い、、、。カエルすらまばらにしか見つかりませんでした。ヤモリはキャットどころかホソユビも姿を現しません。ようやく現れたのがティティワンサキノボリヤモリ でした。といっても、この1個体のみで全く見つかりません。焦りながら道を進むと、黒く細いものが目に入りました。一気に血が熱くなる。蛇だ!まず写真を!と撮ったものはストロボすら炊けず。そしてそのままシュルリと急斜面の草むらに入って行ってしまいました。ぁぁぁ、、、。まともな写真も撮れず逃がしてしまった。なぜすぐに捕まえなかったか。それは毒蛇だったからです。

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Calliophis intestinalis lineata。以前別亜種を見ていたので体色模様と尾の形状で瞬時にカリオフィスだとわかりました。異国の夜の熱帯雨林に一人で来ている状況で、コブラ素手で掴みかかるなんてできるはずもありません。逃した獲物は大きい。本当に悔しかったです。今思い出しても泣けますね。気をとりなおして進んで見れたものは、小型ネブトクワガタの一種やエドワードサン、ジュエルオーキッドのアネクトキルスAnoectochilus あたりです。パッとしませんね。灯火も大したものは見れませんでした。

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さらに翌日は午前から行動したのですが、途中で土砂降りになりさらにストロボをどこかに落としてしまう始末。探すのにどれほど歩き回ったか。その後ずっと雨だったので、美味しいものを食べて観光していました。ナシゴレン本当に好き。夜は雨が止み、昨日と同じルートを歩きましたが特に目ぼしいものは出ず。え、渋すぎないか?と素で思いました。生き物の気配が全くしないのです。キャメロン滞在は3泊のみ。つまり今日が最後の晩なのにこれじゃあやりきれないと、灯火をじっくり見て回ることにしました。すると、キラッと光るものが、、、。拾い上げると、それはマレーテナガコガネの破片だったのです。やっと見れた目的のマレーテナガコガネは1cmほどの小さな胸の欠片と翅一枚。うーん。ダメだこりゃ!

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翌日は朝5時にタクシーに乗り、イポー駅へ向かいました。キャメロンハイランドはもう行かないかもなぁ笑。